レイ・ダリオ氏の【30分で判る 経済の仕組み】をわかりやすく解説します その8
最近何が起こっていますか? 所得がふえている、資産の価値もふえている、株価も高騰している、ブームです。このようなときにはお金を借りても物品、サービス、資産を買うのが良策なのです。この傾向が社会に充満するとバブルとなります。債務がふえていても所得がそれと同じくらいふえていれば返済の問題はありません。
毎月の返済額より、資産の価値が増大している場合、さらに多くを借り入れても返済額より評価額が大きくなっていくので、どこまでも借り入れが大きくなっていく。という説明です。
自分は体験したことはありませんが、バブル時代はそういうことがあったのかもしれません。
債務と所得の比率を債務負担率と呼びましょう。所得が増加している限り債務負担率に問題はありません。資産の価値も高騰します。人々は多額の借金をつくって資産に投資します。これが価格をさらに押し上げます。人は裕福だと感じます。債務が膨れ上がっていても所得と資産価値がふえていますからクレジットを得ることに危険はないのです。
資産の価値はこれからもどんどん上がることを見込んで、多額の借金をしてでも資産(不動産や株)を買おうとします。
「クレジットを得ることに危険はない」というのは正確には「借り手は危険はないと感じている」が正しく、実際にはかなりリスクのある行動と言えるでしょう。
でもこれは長続きできませんし、長続きはしません。何十年もたつと債務額がだんだん大きくなり返済額がふえてきます。そして返済額が所得よりも速いスピードでふえるときが来ます。すると人々は支出を抑えることになります。1人の支出はほかの人の所得ですから所得水準が下がりだします。
すると借りることも難しくなり縮小傾向となります。債務の返済は依然として続きますから支出はさらに減少します。経済変動の波のぶり返しが起こるのです。これが長期債務周期の頂点となります。債務負担が支えきれなくなったのです。
どこまでも価値が騰がるということはなく、どこかのタイミングで価値が減衰すると、これまでは「資産の増加スピード > 返済額」だった部分が逆転することになります。
返済額を捻出するために、支出を抑えたり、資産を売却したりします。
支出は誰かの収入になるので、それが減少します。
売却者が増えると、供給が増えるため資産の価値も下がります。
収入が減少すると、資産(株や不動産)を購入しようとする人が減るため、価格が下がります。
資産の価格が下がると、担保の価値が減るため銀行は融資を渋るようになります。
こうしてバブル経済はピークを迎えて、経済成長は低迷へ向かうのです。
アメリカ、ヨーロッパ、その他の地域では、これが2008年に起こりました。同じ理由で日本では1989年に起こり、アメリカでは1929年にも起こりました。こうなるとレバレッジが勢いをなくします。そうなると支出が減りだします。
このようなバブルは歴史上何度か発生しています。
1929年の世界恐慌。1989年の日本のバブル崩壊。2008年のリーマンショックです。
これらはどれも株や土地の価格が現実的な価値より大きく評価され、それが続くという幻想が過熱を生みます。
ところが、それらが幻想ということに気づかれると一気に価値が暴落するのです。
所得が縮小し、クレジットが消滅し、資産価格が急落し、銀行は苦しくなります。株式市場はクラッシュし、社会的緊張感が強くなり、この悪循環が繰り返されることになります。所得が減り、債務返済がふえると借り手は締め出されてしまい、クレジットは底をついてしまい、借り手は返済に充てるお金を借りることもできなくなります。
このため資産を売り払うことになりますから市場は売りに出される資産であふれます。すると株式が暴落し、不動産市場も崩壊し、銀行が苦しくなります。
資産価値が減ると担保の価値も縮小することになりますから、借りることがさらに難しくなります。人は貧しいと感じ、クレジットは蒸発してしまい、支出は減り、所得が減り、資産価値が減り、クレジットが減り、借りることがさらに難しくなる悪循環です。
バブル崩壊と経済の悪循環について説明される一節です。
支出を減らすことで、誰かの所得が減少、所得が減ると資産を新たに購入することが無くなり、需要が減るため価値も下がり、資産の価値が下がることで担保の価値が低くなるので、銀行も融資を控えます。
銀行からの融資が期待できないため、人々はさらに支出を減らそうとして悪循環を作り出すのです。
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