レイ・ダリオ氏の【30分で判る 経済の仕組み】をわかりやすく解説します その5
粛々と続きます…!
ここでは一歩下がってこの3つの大きな要素を調べ、その相互作用が経済にどう影響するか考えてみましょう。
ここからが本番だと言わんばかりに、「生産力の成長」「債務の短期的な周期」「債務の長期的な周期」の3つについて、これから説明が行われます。
経済動向の細かい変動は、経済革命とか雇用環境の変化で起こるものではありません。この変動は、利用できるクレジットの額によって影響されます。クレジットが存在しない経済を考えてみてください。
ここで注意したいのは「細かい変動は」と断っている部分でしょう。
これから説明が行われる「短期の債務周期」については経済革命などの規模の大きい話ではなく、クレジット(融資)の額によって引き起こされる。という内容です。
次項からこれらについて、順次説明が行われます。
ここでは支出を増加できる唯一の方法は所得の増加です。すなわち生産性と労働時間をふやす必要があります。生産を増加させないと経済は成長できないのです。
私の支出はほかの人の所得ですから、私たちの生産性がふえると経済は成長できます。この環境では経済成長は生産性の成長と同時に起こるのです。
仮に融資や借金といった仕組みが存在しない場合の経済では、所得を増加させるには生産性を向上させる(熟練度を上げたり、長時間働く)しかありません。
増加した所得を使用した場合、自分の支出が他の人の所得になるため、その分経済が成長(取引額が増加)するというお話です。
その場合、図で説明されているように経済成長は緩やかに上昇する直線を描きます。
しかし借りることが可能なら波に変動が起こります。これは法律とか規制によって起こるものではありません。これは人の知恵に基づいて、またクレジットの変動で起こるのです。
借金をすることは、言ってみれば支出を前倒しすることです。収入以上の買い物をするためには収入以上を支出することになります。これを可能にするには未来の自分から借金をするのです。こうすると将来返済のため収入より支出を減らすときが来ます。
融資を得ることで、緩やかな直線で成長していた経済成長の波に変動が起きます。
ここでは「未来の自分から借金」と言われていますが、銀行からの借金として考えても提唱内容には影響がなく、ここで重要なのは「将来返済のために支出を減らすときが来る」という部分です。
これは波の上下動を起こします。基本的にお金を借りることは変動を起こすことになるのです。これは個人にとっても経済全体にとっても同じです。ですからクレジットをしっかり理解する必要があるのです。クレジットを発生させると将来予測可能な一連の事態を引き起こすことになるのです。この意味でクレジットはお金と違うのです。
「借金の返済のために支出を減らすことで、誰かの収入が減る」という現象がおきることで、経済全体では取引額が減少します。
動画のアニメーションを見ていると、「借金の返済で個人の収入が減少した」「中盤で大きく返済額を増やした」というように受け取られますが、正確には「返済のために支出を絞ると、経済全体の取引量が減少する」ということを説明しているので注意してください。(本文の「個人にとっても経済全体にとっても同じ」というのは「借金の返済により支出を抑える必要がある」という点では同じという意味です)
「クレジットを発生させると将来予測可能な一連の事態を引き起こすことになる」とは「融資を受けて支出を増やすと、経済は一時的に成長するが、その後の返済のために支出を減らす必要が出てくるため、経済の成長が一時的に低迷する」という解釈で問題ないでしょう。
クレジットとお金の差について、この節ではクレジットについて説明が行われました。
クレジットとは経済成長の波を引き起こすもの。という内容となっておりました。
お金についての説明は、次項で説明されます。
お金は取引の精算に使われます。飲み屋でビールを現金で買うと、取引はその場で精算されます。
クレジットは経済の波を引き起こしますが、お金は取引を清算(完了)することに使用される。という説明です。
でもクレジットを使ってビールを買うとツケが発生します。将来返済するという約束です。
あなたと飲み屋は資産と債務をつくることになります。何もないところにクレジットが発生したのです。この資産と債務は、のちにツケを支払ったときに消滅します。借りが解消し取引が精算されます。
ここで重要なのは「何もないところにクレジットが発生した」という点です。
これについては過去に以下の記事で詳細を書いたので、引用して記載します。
「クレジットは物質的には何も存在しないところに価値を生み出す」という考えについても理解しておきましょう。
元々貨幣とは「保存が効く、有用性の高い品物」という側面があり、古くは貝殻・米・布が貨幣のように扱われ、近年まではゴールドとの交換を保証することを根拠に紙幣の価値を担保していましたが、ニクソンショックや変動相場制への移行に伴い「国が紙幣の価値を保証して、人々がそれを信じることで価値が生まれる」という方針になりました。
金本位制が崩壊して「信頼により価値が維持される」という体制が人々に受け入れられた際に完全に「物質的には何もないところから価値を創出する」ということが可能になったのです。
ここでは記事の内容を一部抜粋しましたが、リンク先にはもう少し補足などを書いておりますので、よろしければご覧ください。
ここまでで、クレジットとお金の関係について説明されました。
ここで区切ります!続きはこちら。